回り道してはじめた、
農業への道。
祖父の代から続く農家に生まれたのに、大学卒業後はアパレル企業に就職した。洋服が大好きだった。何年たっただろうか、弟が継いでいた実家の農業を辞めた。「お前もやってみないか?」と問う父。
28歳、就農を決意した。「自分の好きなようにきっとできる」という思いで飛び込んだ。甘くはなかった。当時は長ネギの収穫。朝4時から皮むき、結束、箱詰め。これまでの仕事と真逆の生活。それに、出荷時になるとどうしても一定の規格にまとめなければいけない。自分のこだわりが反映されず、悶々とする日々が続いた。
メロンとの出会い。
きっかけは妻の一言。
転機が訪れる。近所で使われなくなった古いハウスを借りてはじめた、メロンづくり。妻が「スプーンで食べる、スイーツのようなメロンが好き」と言ったことがきっかけだ。糖度の高い品種への挑戦。まわりの農家はスイカをつくっていたが、メロンは糖度のばらつきがあって難しい。でも、そこがおもしろい。
試行錯誤の末、甘くてちょっと小ぶりなメロンが完成。「スイーツメロン」として企画販売したところ、驚くほどの注文が殺到した。のめり込んだ。
手間は省かない。
手間はかけるもの。
スイカとメロン、両方をつくっていたがメロンに振り切った。
農業法人化して誕生させたのは、melON(メロン)株式会社。
「メロンは人の足音が好き」と言われるくらい、メロンは管理してほしいもの。
つるや脇芽を丁寧にもぎ、徹底した温度と湿度管理。
交配から収穫までのおよそ2カ月、毎日ハウスに入り、細かな調整を行う。
網目の美しさも価値基準のひとつで、盛り上がった美しい網目をつくるために手間を惜しまない。
糖度測定も全量実施。「最高の品質を届けたい」という熱意が自分を動かしている。
メロンを、お客さんを
信じつづけること。
新潟の人は口下手だ。けれども、話すと感じの良い人は多い。駆け出しのころ、あたりの農家に話しかけるとだれもが親切に教えてくれた。そして、みな粘り強くガッツがある。自分のどこか「諦めのわるい性格」もこの地域ならではだと思う。「うちのメロンは大きくて甘い」と感動してくれる、食べたいと思うお客さんのために。
いまでは農業体験やインターンシップも受け入れたり、耕作放棄地を使ってハウスをふやせないかと模索したり。「手間をかけるからこそおいしいメロンができる」と信じて。今日もメロンに向き合い情熱を注ぎつづける。

